「業種を絞った方がいいですよ」。起業家の集まる場に顔を出したことのある方なら、一度は耳にしたことがあるアドバイスではないでしょうか。歯医者さん専門のホームページ制作、建築業専門のチラシデザイン——たしかに専門特化した見せ方は、お客様に選ばれやすくなります。しかし、いきなり「どの業種に絞ろうか」から考え始めると、かえって遠回りになることがあります。本記事では、ホームページ制作で独立し、業種を絞らずに動いて遠回りした代表・原本の実体験をもとに、業種を絞るメリットと「絞る前に決めるべきこと」を解説します。
交流会でもらった「業種を絞った方がいい」というアドバイス
私(代表・原本)は、ホームページ制作の分野で独立しました。起業当初はとにかく人に会おうと、交流会にずっと出続けていました。その交流会で、「業種を絞った方がいいというふうにアドバイスをいただいたことがあります」——たとえば「歯医者さん専門のホームページ制作」「建築業専門のホームページ」のように、対象とする業種を尖らせた見せ方にすると、お客様につながりやすくなる、という助言でした。
当時の私は、正直ピンときていませんでした。「別にどのホームページでも作れるし」と思っていたからです。技術的にはどの業種のサイトでも作れるのに、わざわざ対象を狭めるのはもったいない。そう考えて、業種を絞らないまま動き続けました。いま振り返れば、あのアドバイスは非常に適切だったと思います。ただし同時に、「いきなり業種から絞る」のとは違う順番があったことにも、後になって気づきました。
業種を絞るメリット——なぜ「専門特化」は集客に効くのか
まず、アドバイスそのものの妥当性を整理しておきます。業種を絞ること、つまり専門特化には、集客上のはっきりしたメリットがあります。
- 選ばれる理由が明確になる:「ホームページ作れます」では無数の同業者と横並びですが、「歯医者さん専門」なら、歯科医院の院長にとって"自分のための業者"に見えます。
- 相手の課題に詳しくなれる:同じ業種の案件が続けば、その業界特有の集客事情や規制、顧客心理に詳しくなり、提案の質が上がります。
- 紹介されやすくなる:「建築業のホームページならあの人」と一言で説明できるため、周囲の人が紹介しやすくなります。
- 検索でも見つかりやすい:「歯科医院 ホームページ制作」のような具体的なキーワードで探している見込み客に、まっすぐ届きます。
要するに、絞ることで「誰に何を提供する人なのか」が一目で伝わるようになる。集客とは突き詰めれば「必要としている人に、選ぶ理由を届けること」ですから、専門特化が効くのは理にかなっています。
それでも「いきなり業種で絞る」のをおすすめしない理由
では、今日から「◯◯業専門」を名乗ればいいのか。私の経験から言うと、それは順番が違います。
当時の私が業種を絞れなかった本当の原因は、「どの業種でも作れるから」ではありませんでした。「自分はなぜこの事業をやるのか」「この事業は何で買ってもらえるのか」という事業の土台を、考えて言語化することを後回しにしていたからです。土台がないまま「歯医者さん専門」と名乗っても、それは借り物の看板にすぎません。なぜ歯科なのかを自分の言葉で語れなければ、見せ方だけ尖らせても、営業の場面で薄さが露呈します。
逆に言えば、業種の絞り込みとは本来、事業設計の"結果"として自然に出てくるものです。ここを取り違えて「まず絞る業種を決めよう」から入ると、根拠のない絞り込みになり、少し反応が悪いだけで「やっぱり広げようか」とぶれてしまいます。実際に何かを売る前の設計がどれほど大事かは、設計せずに動く起業は危ないでも別の角度から書いています。
先にやるべきは事業設計——「なぜやるか」「何で買ってもらえるか」の言語化
私自身が絞る方向を考えられるようになったのは、ミッション・ビジョン・バリューを考え始めてからでした。「挑戦する起業家たちを支援していこう」という自分の思いが言葉になったとき、初めて「では誰に、何を提供するのか」が具体的に見え、実際に一時期は「起業家向けのホームページ制作」という位置づけになったこともあります(本当に一瞬でしたが)。
このとき腹落ちしたのが、考える順番です。「その事業って何で買ってもらえるのか、あるいは自分がその事業をなぜやりたいのかとか、そういったところを本当にしっかり考えて言語化して、それを先にやっていく」——つまり、内面(なぜやるか/誰が何にお金を払ってくれるか)→言語化→事業設計という順番です。業種という"見せ方"は、その一番最後に出てくる表現にすぎません。
順番を整理すると:①なぜこの事業をやりたいのかを言語化する → ②どういう人が、何にお金を払ってくれるのかを言語化する → ③それをもとに商品・事業を設計する → ④結果として「歯医者さん専門」のような尖った見せ方が定まる。絞り込みは出発点ではなく、設計の到達点です。
なお、私はその後、AIの普及を目の当たりにして「ホームページ制作のままでは生き残れない」と考え、事業そのものを転換しました。これは絞り方の失敗ではなく市場環境の変化ですが、内面から言語化する習慣があったからこそ、転換のときも「自分は結局、何のために誰を支援したいのか」に立ち返って判断できたと感じています。「なぜ」を語れることが集客の共感につながる話は、「なぜ」を語れる経営者に共感が集まる理由で詳しく書いています。
内面を尖らせれば、事業は自然と絞られていく
「業種を絞る」と聞くと、リストから一つ選ぶような決断をイメージするかもしれません。しかし実際は逆で、なぜやるのか・誰が何で買ってくれるのかをひたすら考えて言語化し、商品設計・事業開発を「しっかり行っていけば、自然とその事業の内容というのは絞られていきます」。私の実感もまったく同じです。内面を尖らせた結果を最後に表現したものが、「歯医者さん向けのホームページ制作」のような見せ方なのです。
この順番で絞られた事業には、後付けの専門特化にはない強さがあります。「なぜ歯科なのか」「歯科医院のどんな課題を、なぜ自分が解決したいのか」を自分の言葉で語れるため、営業でも発信でも言葉に一貫性が生まれ、ぶれません。何を売るかの言語化がなぜ先なのかは、「どう売るか」より「何を売るか・なぜ売るか」もあわせてお読みください。
バックグラウンドが固まった事業は、どの集客手段でも刺さる
そして、この「内面から設計した事業」には、集客面で大きな副産物があります。バックグラウンドがしっかりした事業は、SEOでも広告でも交流会でも展示会でも、どの場面でもより刺さりやすく、紹介もしやすくなるのです。
理由はシンプルで、どのチャネルでも結局伝えるのは「誰の、どんな課題を、なぜ自分が解決するのか」だからです。ここが言語化されていれば、広告のコピーも、交流会の自己紹介も、検索記事の切り口も、同じ土台から一貫して出てきます。逆にここが曖昧なまま集客手段だけを乗り換えても、どのチャネルでも同じように刺さりません。施策の前に全体を設計する考え方は、施策を選ぶ前に全体戦略で見るで扱っています。
言語化した「なぜやるか・何で買ってもらえるか」は、営業トークで終わらせるにはもったいない資産です。その言葉と、そこにたどり着くまでの体験を記事として検索エンジン上に置いておけば、交流会に通い続けなくても、同じ悩みを検索した見込み客に24時間届き続ける集客資産になります。私たちの「ストック集客」は、月1回のヒアリングで社長の頭の中の言葉を引き出し、AIが記事化・更新までを自動化するサービスです。
まとめ:絞るのは業種ではなく、まず「なぜ・何で」
「業種を絞った方がいい」というアドバイスは、集客の観点から見て適切です。ただし順番があります。いきなり業種という"見せ方"から絞るのではなく、まず「なぜこの事業をやりたいのか」「どういう人が、何でお金を払ってくれるのか」を考え抜いて言語化し、商品設計・事業開発をしっかり行う。そうすれば、事業の内容は自然と絞られ、結果として「◯◯専門」という尖った見せ方が、根拠を持って定まります。
「自分の事業の"なぜ・何で"がまだ言葉になっていない」「絞り方に迷っている」という方は、まずは無料相談でお気軽にお問い合わせください。現状をお聞きしたうえで、言語化から集客資産づくりまでの進め方をご提案します。
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