集客の相談を受けていると、「マーケティングは、もうやっているんです」という方によくお会いします。ところが「具体的には何をされていますか?」と尋ねると、返ってくる答えは「インスタグラムの広告運用です」——。私(代表・原本)は交流会でそんな場面に何度も出会いました。インスタ広告の運用は、それ自体はまっとうな施策です。けれどマーケティング全体から見ると、ごく狭い、細分化された一領域にすぎません。手段を一つ握りしめたまま「マーケティングをやっている」と思い込んでしまうと、肝心の「自社のお客様はどこにいて、どういう人か」という一番大事な問いが抜け落ちてしまいます。本記事では、私自身がSEO事業を通じて痛感したことも交えながら、施策を選ぶ前に全体戦略まで視野を広げる考え方を、一人社長・中小企業の経営者向けに整理します。
交流会で何度も聞いた「マーケティングやってます」の中身
独立してから、私はいろいろな交流会に足を運んでいた時期があります。そこで「マーケティングやってます」という方に出会うたび、興味を持って具体的に聞いてみると、「インスタグラムの広告運用です」と答えるケースが結構ありました。もちろん、インスタ広告の運用を一生懸命やっていること自体は素晴らしいことです。ただ、話を聞いていて気づいたのは、多くの方がその施策が全体のどこに位置づくのかを意識しないまま、手段だけを選んでしまっているということでした。
これは発注する側にも、受注する側にも起こります。「マーケティング=インスタ広告」「集客=SNS」というふうに、たまたま最初に触れた手段が、頭の中でマーケティングそのものと同じ大きさになってしまう。すると、「本当にその手段でいいのか」「そもそも自社のお客様はそこにいるのか」を検討する前に、施策が決まってしまうのです。私はこの光景を何度も見て、「手段の前に、全体像を見る順番が抜けている」と感じるようになりました。
「インスタ広告運用」は全体戦略のどこにあるか|階層で見てみる
では、「インスタグラムの広告運用」はマーケティング全体のどこに位置づくのでしょうか。私はよく、次のような階層で説明します。上から順に、だんだん範囲が狭くなっていくイメージです。
- マーケティング全体戦略(誰に・何を・どう届けるかの全体設計)
- └ オンラインのデジタルマーケティング戦略(ネットを使う領域)
- └ オウンドメディア(自社メディア)戦略(自社で持つ発信基盤)
- └ SNS戦略(各SNSをどう使うか)
- └ インスタグラム(数あるSNSの一つ)
- └ 広告運用(インスタの中の一手法)
こうして並べてみると、「インスタ広告の運用」はマーケティング全体戦略のいちばん下、細分化された中のさらに一つの領域だということが見えてきます。決してレベルが低いという話ではありません。専門特化して尖らせること自体は良いことです。ただ、発注する側が一番上の全体戦略まで一度登って全体を見渡してから降りてくるのと、いきなり一番下の手段から入るのとでは、意思決定の質がまったく変わってきます。全体を見ずに手段から入ると、「なぜその手段なのか」を自分の言葉で説明できないまま、お金と時間を投じることになりがちです。
手段(インスタ広告・SEOなど)は、マーケティング全体戦略という大きな地図の中の一地点です。まず地図の全体を見て、「自社のお客様はどこにいるか」を確かめてから、そこへ向かう手段を選ぶ。この順番が抜けると、良い施策でも成果につながりにくくなります。
手段ありきの落とし穴|私自身がSEOで痛感したこと
「手段ありきは危ない」というのは、他人事ではありません。実は私自身が提供しているSEO対策こそ、手段ありきの落とし穴にはまりやすいと感じています。SEOは、特定のキーワードで検索結果の上位に表示させて集客する手法です。とても強力ですが、ここには見落としやすい前提があります。
それは、そのキーワードがそもそも検索されていなければ、上位表示されても意味がないということです。どれだけ頑張って1位を取っても、そのキーワードにターゲット層が一人もいなかったら、契約にはつながりません。「SEOで上位を取る」という手段だけを目的にしてしまうと、「そのキーワードの先に、本当にお客様がいるのか」という肝心の検証が抜けてしまうのです。これは、インスタ広告を全体像なしに始めてしまうのと、構造はまったく同じです。
だからこそ私は、SEOを勧める立場でありながら、いつも「まずは全体戦略から考えましょう」とお伝えしています。手段の話をする前に、自社のペルソナ(理想のお客様像)はどこにいて、どんな言葉で情報を探しているのかを見極める。その結果として「検索から探している人が多い」と分かって初めて、SEOという手段が生きてきます。手段ありきにしないことが、遠回りに見えて一番の近道です。
オンラインだけがマーケティングではない
もう一つ、全体戦略から考えると見えてくる大事なことがあります。それは、オンラインだけがマーケティングのすべてではないということです。「マーケティング=ネット」というイメージが強い方も多いのですが、実際には手法はもっと幅広く存在します。
たとえば、ポスティングやファックスDMといった、いわゆるアナログな手法もれっきとした集客手段です。ターゲット層が非常に特殊で、ネットをあまり使わない層だったり、特定の地域・業種に固まっていたりする場合には、こうした特殊なアプローチのほうがずっと効くこともあります。「見込み客がどこにいるか」を先に見極めれば、選ぶべき手法はオンラインとは限らない、というわけです。
ここで大切なのは、手法に優劣をつけることではありません。相手(見込み客)がどこにいるのかをしっかり考え、それに適した手法を選ぶ——この考え方でマーケティング全体を設計することです。全体戦略という視点を持てば、「インスタ広告か、SEOか」といった狭い二択ではなく、「そもそもうちのお客様はどこにいて、どうすれば届くのか」という本質的な問いから設計を始められます。
手段どうしの優劣を競わせるのではなく、「お客様はどこにいるか」を起点に手法を選ぶ。オンライン・オフラインを問わず、届けたい相手のいる場所に合わせて手段を組み合わせるのが、全体戦略で考えるということです。
施策を選ぶ前に、全体戦略で「お客様の居場所」を決める
ここまでをまとめると、順番はこうなります。まずマーケティング全体戦略という一番上に立ち、「自社のペルソナはどこにいて、どういう人か」を見極める。次に、その人たちに届く手法を、オンライン・オフラインを問わず選ぶ。そして最後に、選んだ手法の中で具体的な運用(インスタ広告の設定、SEOのキーワード選定など)に落とし込む。この順番を守るだけで、「良い施策なのに成果が出ない」という事態はかなり減らせます。
逆に、いきなり一番下の手段から入ると、「インスタ広告を回しているのに問い合わせが来ない」「SEOで上位を取ったのに契約にならない」といったことが起こります。悪いのは施策そのものではなく、その施策を選ぶ前の全体戦略が抜けていることが多いのです。「マーケティングやってます」と言える状態は、手段を一つ動かしていることではなく、全体を見渡したうえで手段を選べている状態を指すのだと、私は考えています。
集客の土台という観点でも、この順番は効いてきます。私たちはコンテンツSEOで、検索から関心のある人が訪れ続けるストック型の集客資産づくりをお手伝いしていますが、これも「まず全体戦略でお客様の居場所を決める」ことが前提です。手段としてのSEOを検討する前に、集客の考え方の土台を整理したい方は、交流会に半年通っても集客できなかった理由もあわせて読んでみてください。「どう売るか」より先に「何を・なぜ売るか」を考える大切さは、「どう売るか」より先|何を・なぜ売るかが集客成果を分けるでも触れています。
まとめ:手段の前に全体戦略。お客様の居場所から設計する
交流会で何度も聞いた「マーケティングやってます」の中身は、たいてい「インスタ広告の運用」という細分化された一手段でした。階層で見れば、それはマーケティング全体戦略の一番下にある一領域にすぎません。私自身、SEOという手段を提供する立場でありながら、「検索されないキーワードで上位を取っても契約にはつながらない」という手段ありきの落とし穴を痛感してきました。だからこそ、施策を選ぶ前に一度全体戦略まで登って「自社のお客様はどこにいて、どういう人か」を見極めることをお勧めしています。オンラインだけがマーケティングではありません。相手の居場所に合わせて手法を選ぶ——この順番が、良い施策を成果に変えます。
私たちは、社長の経験や考えを検索から共感層が集まり続ける記事に変え、全体戦略に沿った集客の土台づくりをお手伝いしています。「マーケティングをやっているつもりだけど成果が出ない」「手段が先行していて、そもそもの設計に自信がない」という方は、まずは無料相談でお気軽にお問い合わせください。
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